2025年5月11日 J2リーグ第15節 ジュビロ磐田 対 藤枝MYFC

Jリーグ

終了間際のPKでジュビロ磐田(以下磐田)に0対1で敗戦した。藤枝MYFC(以下藤枝)に対する物凄く大雑把な感想を言うと、守備は良かった。しかし攻撃は良くなかった。になる。磐田の攻撃を耐えてはいるが、得点の予感がなかなかしない。なので、0対0の引き分けが結果としては妥当な線だろう、と思いながら試合を見ていたが、最後の最後で余分なPKを与えてしまった。非常に残念だった。だが、終わったことを悔やんでみても仕方がなく、また次の試合に向けて進んでいかなくてはならない。勝ち点を得ることはできなかったが、だからこそ今節の試合で良かった点を続け、良くなかった点を改善することでチーム力を向上させて欲しい。

以下、この試合で藤枝に対して感じたことを書いてみたい。


 

〇守備の強度が高かった。守備のために走り、体を張るプレーが随所に見られた。

前節までの試合を見ていて藤枝の守備陣には不安を感じることが多かった。危険なエリアで相手へのマークがずれてしまう、あるいは相手へのプレッシャーが甘く簡単に失点してしまう場面が多かったと思う。なので、ある程度守備ブロックを構築して、まずは相手の攻撃を前向きに受け止めて欲しいと思った。危険なエリアを守備の人員で埋める。そうすることで相手のプレーを効率よく制限するべきだと感じた。しかし、今節の藤枝はそんな手段は選択しなかった。いや、相手の攻撃を前向きに受け止めるという点では守備ブロックを構築していたと言えるのかもしれない。ただ、その「守備ブロック」は防波堤のように不動ではなく、大きく前後に移動する動くブロックだった。とにかく、磐田のボールホルダーへの寄せが速かった。前方へダッシュする勢いのまま相手へ寄せていく。また、パスを出されても別の選手がすかさずそちらへ圧力をかける。その先で相手を自由にさせない。その一連のプレーの強度が高かった。また、ボールホルダーへのチャレンジがかわされて前進されたとしてもそこで守備がストップしない。かわされた先へプレスバックすることで磐田に数的有利を作られたり、スペースを使われたりすることがなかった。
今節の藤枝を見て、改めて対人守備の大切さを感じた。強度の高い対人守備をすることで相手を制限することの大切さだ。守備ブロック云々、守備戦術云々より以前に、相手に挑んでいく守備、相手を自由にさせない守備ができれば安易に失点をすることはない。あまりにも当たり前のことであるが、その当たり前を実直に実行する大切さを強く感じさせられた。ただ、この強度の守備を1試合続けることは簡単ではないと思う。相手に激しくプレッシャーをかけ続ける走力、相手にファイトを挑み続ける精神力、相手の動きを読み続ける判断力、これらを高いテンションで継続するのだから。しかし、今後の試合も今節のような守備を続けて欲しいと思う。是非この守備をベースにしたサッカーを続けて欲しい。今シーズン藤枝が掲げる超攻撃的サッカーも大いに賛成である。ただし、今節の守備強度を実行した上での超攻撃的サッカーだ。それが残りのシーズンで藤枝が躍進するために必要な条件ではないだろうか。この試合を見てそのように考えた。


 

●攻撃面には物足りなさを感じた。

何本かのシュートは打てていた。30分の金子選手のシュート場面が最大のチャンスだっただろうか。だが、相手を打ち破るような強度があり、かつ重厚的な攻撃は総じて見られなかったと思う。これは前述した守備の強度の高さが少なからず影響しているだろう。守備に高い強度を発揮したために攻撃にまで高い強度が行き渡りにくかったのではないだろうか。100%の守備強度から100%の攻撃強度への切り替えは簡単なことではないと思う。やはり今節では、攻撃に移行した際にボールホルダーへの味方のフォローが足りないと感じた。あったとしても1人、そこへパスを出してもその先で相手に囲まれてしまいボールを失うシーンが目立った。1人のボールホルダーに1人の受け手では相手に認知されてしまう。その場面でできるだけ多くのフォロワーを集結させて相手に認知されにくい攻撃を繰り出したい。
78分にドリブルで持ち上がった浅倉選手が左サイドの千葉選手にパスを出した。千葉選手が囲まれてしまう前にアンデルソン選手が3人目の動きでフォローに入り局面を打開した場面があった。浅倉→千葉→アンデルソン→浅倉と3人目の動きで守備網を突破し、惜しいチャンスを作った。このように強度の高い守備から強度の高い攻撃、あるいは質の高い攻撃への切り替えを1試合で何回実行できるかが重要だと思う。強いチームはそこが優れているのだと思う。


 

〇ボランチの岡澤選手とゴールキーパーの北村選手のプレーが強く印象に残った。

ボランチ岡澤選手の運動量、ボール捌きとパスの正確性が印象に残った。磐田のボランチに対して前進し、積極的なプレスに走ったかと思うと、次にはゴール前まで全速力で戻り体を張った守備を行っていた。その強度の中、ボール奪取やこぼれ球の処理、パスのつなぎ役として正確なプレーを見せた。ボールを扱うプレーは、ほぼノーミスだったのではないだろうか。今後、藤枝の高い守備強度の担い手として活躍を期待したい。
ゴールキーパーの北村選手も試合を通して安定していたと思うが、何と言っても12:32のセービングである。クルークス選手の強烈な左足シュートはゴール右上隅の完璧なコースに飛んでいたが、浮遊感とスピードを両立させたようなジャンプで右手を伸ばし枠外にボールを弾き出した。このプレーは磐田の選手に影響を与えたのではないか。試合の序盤でこのようなゴールキーパーのスーパーセーブがあると、以降のシュートは難しいものになってしまうと思う。シューターの心理に余分なノイズを発生させてしまうからだ。23分の渡邉選手のループシュート、76分の佐藤選手のヘディングシュートなどがそうだったのではないか。北村選手のセービングの残像が、相手選手のシュートに悪影響を与えたことは十分に考えられる。それほどまでに大きなプレーだったと思う。

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