全国高校サッカー選手権静岡県大会 決勝 静岡学園 - 藤枝東

高校サッカー

2023年11月11日(土)@静岡県小笠山総合運動公園 エコパ

静岡県大会の決勝戦は、U-18年代の最高峰リーグであるプレミアリーグに所属する静岡学園と、プリンスリーグ東海に所属する藤枝東の対戦だった。
サッカーの強豪として知られる伝統校同士の対戦になった。


 

試合は激しい主導権争いで始まる。
ピッチのあらゆる地域でボールを奪い合うプレーが連続する。
両チームともに、相手に時間とスペースを与えることがない。
ボールホルダーに激しいプレスを掛け続ける時間が流れていく。

そのような展開の中で、徐々に静岡学園が膠着した状況を打開し始めた。
相手の逆を取る、あるいは相手の圧力をずらすようなボールタッチで藤枝東のプレスを回避するようになってきた。

ボールタッチ、特にワンタッチ目のクオリティが1段階高いという印象、そんな印象を静岡学園の選手から受ける。

1人の選手がボールを保有する時、通常は、動いているボールを自分の足下に落ち着かせる行為が最初にある。それからいろいろなプレーを展開させていく。

分解して書くと
①動いているボールを足下に正確に止める
②次のプレーに移行する

当たり前だが、このようになる。

静岡学園の選手の場合、①と②が非常に密接している。同化しているとも感じる。
従って、相手のプレスを受けても能動的にプレーができる。常に自分から仕掛けるようなプレーができる。①と②のあいだの空白の時間にプレッシャーを受けて、受動的なプレーになってしまうことが少ない。

藤枝東のプレスも十分に機能していたと思う。ファーストディフェンダーが慎重に間合いを詰めて相手のプレーを制限した、と見ると周囲の味方選手もボールホルダーを取り囲む。そのディフェンスは静岡学園にも威力を発揮した。
しかし、前述した静岡学園のストロングポイントによって徐々に違いを作られ始める。
少しづつ、静岡学園が攻撃を継続するようになり、主導権を握り始めた。
静岡学園の先制点(前半15分)はそんな時間帯に生まれる。庄選手のミドルシュートだった。

一方の藤枝東は、守勢に回る時間帯が多い中、相手のCKの流れからカウンターを発動させて前半のうちに同点に追いついた。
右サイドを直線的に攻め上がり、左サイドの江口選手に繋ぎ、最後はファーサイドの植野選手がヘディングでゴールした。

江口選手のラストパスは、植野選手だけがヘディングできる空間にボールを送り込んだ絶妙なクロスだった。

1-1の同点で突入した後半は攻守が激しく入れ替わる、観戦していて楽しい試合展開だった。
両チームにチャンスが訪れ、どちらのチームにも勝機があった。

しかし、後半26分に宮嵜選手が得点を挙げて静岡学園が勝ち越す。
ゴール前へのスルーパスを受けた瞬間に、ワンタッチでDFをかわして流し込んだゴールだった。
ボールタッチのクオリティの高さが光る、静岡学園らしいゴールだった。

試合はそのまま2-1で終了。静岡学園が全国大会への出場を決めた。


 

藤枝東は惜しくも3年連続の決勝戦での敗退となった。
だが、強豪の静岡学園を相手にして、見事に拮抗した試合を見せてくれた。

これは個人的な感想だが、もう少し1トップの植野選手の高さを活かして欲しかった。
ゴール前の植野選手をターゲットにしたロングボールが数多く供給されれば、ヘディングでのゴールチャンスや有効なセカンドボールがさらに増加していたと思う。

しかし・・・闇雲にロングボールを供給するスタイルは藤枝東が指向するものではないのだろう。
相手の守備をパスワークで攻略することを放棄して前線へボールを放り込むプレーを、この大事な決勝戦でも選択しなかった。

藤枝東も、藤枝東らしいサッカーをやり抜いた。


 

地力を発揮して優勝した静岡学園は、静岡県の代表として全国の舞台で大いに活躍して欲しい。
チームのストロングポイントを前面に出した「静学らしいサッカー」を全国大会で見られると思うと今から楽しみである。

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