2025年5月17日 J2リーグ第16節 藤枝MYFC 対 RB大宮アルディージャ

Jリーグ

RB大宮アルディージャ(以下大宮)に0対1で敗れて4連敗になった。この4連敗中に奪った得点はわずかに1点だ。得点力の不足が連敗の主要因と言えるだろう。また、今節ではイエローカードを伴うファウルが多発し、退場による数的不利が発生してしまった。前節のジュビロ磐田戦で見られた強度の高い守備が空回りしてしまったような印象を受けた。それでもまだ、守備の意識はチーム内で徐々に定まってきている空気を感じる。懸念されるのは得点力不足の方だ。誰が、どのようにして得点するのか、観戦していてその方向性が感じられない。「得点の予感がしない」というやつである。
この連敗で順位は下がって現在は16位。いよいよ降格圏が視界に入ってきた。今はとにかく勝ち点を重ねていくしかない。そのためには今一度「得点する」という部分に特化したサッカーを表現することに集中して欲しい。そして、もしそれが上手くいかない場合には、新しい選手の補強も考える必要があるのではないだろうか。個人的には現在の藤枝MYFC(以下藤枝)に対してそのくらいの不安を感じている。

以下、この試合で藤枝に対して感じたことを書いてみたい。


 

●得点力不足に強い不安を感じる。

明らかに得点力が不足している。今節ではワントップにディアマンカ選手、ツーシャドーにアンデルソン選手、千葉選手と、前線にフィジカルの優れたメンバーを揃えた。しかし、大宮のディフェンダーに競り勝って、あるいはマークを外してゴールを奪うことはできなかった。
サッカーの得点の形は多種多様だ。決まりきった得点の形というものは存在しないだろう。得点の数だけ得点の形がある。しかし、ゴールシーンには得点者がいて、同時にその得点を防ごうとした守備者が存在する。得点の形は無限だが、そこには必ずと言っていいほど人と人との戦いがある。そして、その戦いで上回らない限り得点することは難しい。その力が今の藤枝の前線には足りないように感じる。この試合でもタイトなマークで厳しく守る大宮の守備陣に打ち勝って得点することができなかった。一方、大宮のファビアンゴンザレス選手はクロスボールをディフェンダーに競り勝ってヘディング一発で得点した。そこに両チームの明らかな差を見た思いがする。やはり守る側から見て怖いアタッカーというのはそういう選手だと思う。スペースを潰してきっちりマークもして守っているつもりでも、その守備を無力化されてしまうからだ。昨シーズンの藤枝で得点を量産した矢村選手はそのようなアタッカーだったと思う。ちょっとしたステップや短いドリブルを巧みに入れることで、マークされている状況でもスペースを作り出しパンチ力のあるシュートを決めていた。ファビアンゴンザレス選手とは違うタイプだが、ゴール前の対人勝負に勝って自分の仕事ができるという点では共通項があった。
藤枝はボールを握れるチームなので、ボールを保持しながら徐々に相手を押し込んで攻撃することが多い。だが、その代わりに相手の守備陣も徐々にゴール前に帰陣できる。結果的に藤枝のアタッカーはゴール前のスペースがない環境での仕事を要求される場面が多くなる。今節の前線のメンバーに対しては、その環境下で仕事をする適性があるのかを疑問に感じてしまった。どちらかと言うと全員がランプレーを得意にしている選手ではないだろうか。スペースがある状況で動きながらボールを受けて、そのスペースを使って走りながらプレーする。そういうダイナミックなプレーが得意なタイプだと思う。攻撃の基準点をゴール前に置くのではなくもっと低い位置に置き、そこから縦パス系の長いボールを使ってランプレーで勝負させる攻撃ならば適性があるように感じた。もっとも、そのような攻撃には確実性が伴わないので難しい面があるのだが。
冒頭で「得点する」という部分に特化するべきだと書いたが、それは相手の守備を上回るプレーに特化する、ということとほぼ同じ意味だろう。おそらくは日頃のトレーニングでプレーの質、スピード、強度、そして連携を高めて相手の守備を上回ることを第一に目指していると思う。そのような地道な鍛錬で得点できるようになれば一番良い。しかし、相手も同様に攻撃を防御するためのプレーを日々鍛錬している。それに「得点する」能力は、ある種の特殊能力でもある。真っ正直な努力だけで得点力が向上するという保証はない。それでも現状を考えれば気の長いことは言っていられないと思う。やっと得点力がついてきたが、残念ながらシーズンが終わりそうだ・・・では困るのだ。正攻法のトレーニングでどうしても得点力が上がらなければ、得点力を持っている人材を補強するしかないだろう。是非、ここの見極めを見誤って後手を踏んでしまうことのないようにして欲しいと思う。
今シーズンの開幕戦で、決めるべき時に決め切る力がなかったと感じた。その問題点がいまだに解決されていないと感じる。もうシーズンの半分が終わろうとする状況なのだ。このまま何かが変わらなければ、開幕戦で感じた問題点が最後まで残ってしまいそうだ。自分の中でそんな不安が大きくなっているのを感じている。

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