2025年3月9日 J2リーグ第4節 ヴァンフォーレ甲府 対 藤枝MYFC

お互いに3得点して引き分けた。なので、お互いに3失点したのだが、その中には与えなくてもいい失点があったと思う。双方が「勝てる試合だった」と悔やんでいるだろう。
ヴァンフォーレ甲府(以下甲府)はアディショナルタイムに失点したこともあり、もちろん引き分けの結果について納得していないはずだ。痛恨の勝ち点1だったと思う。この試合の十分な検証を行い、次節以降の立て直しを図ってくるだろう。
そして、藤枝MYFC(以下藤枝)である。結果的に劇的な同点弾で引き分けに持ち込んだが、それで良しとはしないで欲しい。試合後の検証をむしろ普段より入念に行って欲しい。甲府と同様に3点取って3点取られた検証材料の多い試合だからだ。入念な検証から確証を掴み、そして後になってみれば、この試合が上昇のきっかけだったと言えるようにして欲しいと思う。

以下、この試合で藤枝に対して感じたことを書いてみたい。

●相手のプレーを厳しく制限する必要があるエリアで、ボール保持者に対しての寄せが甘く、厳しい守備ができていない時がある。例えばサイドでの1対1で、相手のプレー目的であるクロスを入れられてしまうような場面だ。

●相手のボール保持者からパスが出された時、そのパスの受け手に対するマークが甘く、簡単にパスを通されてしまう時がある。その結果、後手を踏みながら連続してパスを通され、ピンチになってしまう。

●ゴール前の超危険地帯において、浮いたルーズボールに対する反応が遅い。

〇ディアマンカ選手や千葉選手が相手を押し込めるため、攻撃から守備への素早い切り替えでボールを奪い返したり、セカンドボールを数多く回収できていた。

〇ボランチから後方のポジションの選手による攻撃が機能していた。

〇セットプレーでのヘディングシュートの得点を久しぶりに見た気がする。

 

相手の意図するプレーを制限できていない。それを1番感じたのはサイドでの守備だ。4:50の右サイドや25:55の左サイドの守備場面など、サイドでの対人守備の場面で相手に体を寄せ切れていないと思った。体を寄せるタイミングを逸してしまっているように見える。
相手がボールを保持しながらも周囲が良く見えている時や、ボールを意のままに操作できる体勢の時に無闇に寄せてもかわされてしまう可能性が高い。なので、かわされないタイミングを感知して相手にチャレンジしたい。また、そのタイミングが到来しなくても、もう少し相手に寄せて欲しい。プレッシャーをかけて欲しい。そうでないと、寄せ切れるチャンスはなかなか到来しない。そして結局はゴール前にクロスを入れられてしまう。そのような場面が何回かあった。

相手がボールを保持した場合、その保持者からパスを受けようとするプレーヤーがいる。そのプレーヤーへのマークが甘いため、パスを容易に繋がれてしまっている。17:05や44:15の場面などで、パスを何本も繋がれて簡単にシュートを許してしまっている。
相手のボール保持者Aからパスの受け手Bにパスが出た時、Bへのマークが甘いため、慌ててボール保持者になったBを追う。しかし、今度はBから、同じくマークの甘い別の受け手のCへパスを出されてしまう。そのように、後手を踏みながら相手にパスを繋がれ続けてシュートを打たれてしまう場面があった。相手がパスを受けようとする、あるいは受けた瞬間の、まだボールコントロールできていない時がチャンスである。そこで適切なチャレンジができるような出足の鋭い守備が必要だと思う。
18:55に、パスを受けようとした甲府の鳥海選手へ杉田選手が厳しくプレスに行って攻撃を遮断した。ファウルにはなってしまったが、あのくらいのプレー強度が欲しい。

コーナーキックから2失点している。「相手に触られたら即失点ですよー」というボールに対して反応が悪く、先に触れていない。相手に体を預けられているせいかもしれないが、もし相手に体を預けられているなら、相手の体の自由も奪って共倒れになって欲しい。先に足(頭)を振られてしまったら、ほぼ終わりという状況なのだから。
この試合の2失点で、今後他チームはゴール前へのロングボールやコーナーキック獲得狙いの攻撃を重要視してくるかもしれない。そう心配してしまうほどに明らかで致命的な弱点だと感じた。

相手が守備から攻撃へと切り替えようとする、その初期段階で再度ボールを奪い取る積極的な守備ができていた。37:10の場面や得点の起点になった38:05の場面などである。
これは、ディアマンカ選手や千葉選手が攻撃で相手を押し込めている影響があると思う。相手は重心が後ろ向きになり、藤枝は前向きになる。そのため、相手側が守備から攻撃に転じる時のルートへ最短距離で勢いを持ってアプローチしやすくなる。そのルート上で、前向きベクトルの藤枝の選手が再びボールを奪う場面が何回かあった。また、相手のクリアボールやこぼれ球などのセカンドボールの回収率も高かったと思う。

51:57や69:40の杉田選手、71:20の世瀬選手など、ボランチの位置からの良い縦パスが何本か見られた。また、58:24や72:53の世瀬選手のミドルシュート、58:33の杉田選手のミドルシュートなど思い切りの良いシュートも見られた。
前節でも感じたが、ボランチから後ろのプレーヤーによる攻撃は、もはや必要不可欠だと思う。試合が拮抗すればするほど、その回数と質の高さが求められてくる。そしてこの試合でもセンターバックの久富選手と中村選手が得点している。相手の警戒が薄れやすい後ろのポジションの選手が、いかに攻撃へ参加するか。藤枝はそのテーマの答えを体現できつつあると思う。

前節、藤枝の試合を観戦して、コーナーキックがピンチになりやすく、チャンスになりにくいと感じた。そしてこの試合でコーナーキックから2失点した。このままでは本当にかなりの弱点になってしまう・・・と暗い気持ちで試合を見ていたら、アディショナルタイムにルーキーの中村選手がコーナーキックのボールをヘディングで叩き込んでくれた。
コーナーキックでゴール前に放り込まれたボールをヘディングするプレーだが、このプレーはサッカーという競技の中でもかなり異質なプレーだと思う。もちろん、ヘディング自体の技術、正しいポイントでボールを捉えて意図する方向へ意図する強さでボールを飛ばす、という技術がある点では他のプレーと同類である。ただ、そのヘディングの技術を発揮する前に、ヘディングをする「権利争奪戦」に勝ち抜く必要がある。かなりの高倍率の争いである。この厳しい争奪戦に勝つには、いち早くボールの落下地点に入り込み、かつ自分の最高到達点でボールをミートする技術が必要だと思う。しかし、この「技術」がサッカー競技で求められる一般的な技術とは異質なものに思えて仕方がない。練習しても向上しにくい技術ではないだろうか?なので、技術というよりも「能力」の方がしっくりすると思っている。
昨シーズンまで藤枝に在籍していたセンターバックの山原選手に、この能力があるなぁと思っていた。山原選手の移籍で、藤枝のセットプレー時の制空力が低下してしまったのではないか?と個人的に懸念していたのだ。しかし、この試合で中村選手が見事なヘディングシュートを見せてくれた。プロ初出場だった中村選手に、非凡な「能力」があることを期待してしまう素晴らしいゴールだった。

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