2025年3月1日 J2リーグ第3節 藤枝MYFC 対 ブラウブリッツ秋田

Jリーグ

今シーズンここまで2戦2勝のブラウブリッツ秋田(以下秋田)と1分1敗の藤枝MYFC(以下藤枝)の対戦。藤枝はこの試合の直前にチーム内に集団食中毒が発生して、前節からスタメンが6人変更していた。更に20人が上限のベンチ入りメンバーは18人のエントリーという緊急事態の状況だった。
しかし、結果的には2-1で藤枝の逆転勝利。アクシデントに打ち勝って勝利を飾った。

以下、この試合で藤枝に対して感じたことを書いてみたい。

 

〇本職ではない急造のボランチ起用だったが、懸念した1対1の攻防に負けてしまう場面は少なかった。守備面でのマイナスは意外に感じなかった。

〇ボランチの2人には細かい技術、キープ力があったのでボールを落ち着かせることができていた。

〇ボランチを経由するビルドアップは少なかった。そこでフィジカルにコンタクトされてボールロストすることを警戒したのかもしれない。そのかわりにロングボールは比較的多かった。その辺りのリスク管理はできていたと思う。

〇ロングボールを混ぜた攻撃は有効だと思う。攻撃のリズムが変わって相手のディフェンダーが苦慮しているように見えた。

〇前節はワントップのポジションだった千葉選手は、今節の2列目のポジションの方が適正があると思う。

〇ワントップのディアマンカ選手はロングボールのターゲットマンとして機能していた。

〇守備陣は相手のアタッカーとバトルする場面が多かったが、最後まで集中が切れなかった。この試合にかける気持ちを見た思いがする。

●コーナーキック(攻撃時、守備時の両方)からのボールを先に相手に触られる傾向がある。

 

普段は攻撃的MFの浅倉選手と金子選手が、この試合のボランチを務めた。
ボランチの主要な役割として中盤の守備がある。相手の攻撃を中盤でせき止めてボールを奪う役割。この役割が機能しないとゴール周辺の危険地域へ自由に攻め込まれ、失点の可能性が増大する。
2人は攻撃的な選手なので守備は得意ではないだろうと思った。相手の攻撃を防ぎ切れないのではないか?・・・と、その点が心配だった。だが、実際に試合が始まると、2人が1対1の守備で苦労するような場面はあまり見られない。というか、向かってくる相手からデュエルを挑まれる、という場面自体が少なかったと思う。
これは、秋田が中盤を省略して前線に長めのボールを入れてくる攻撃を多用したからだろう。なので、いきなり藤枝の最終ラインが守備をするという場面が多く、どちらかというとセカンドボールを回収して攻撃につなげる役割が目立った。その点で今節の2人のボランチは機敏な動きとキープ力を活かして機能していた。
これがそうではなくて、「最終ライン→中盤→最前線」と順序良くじっくりと攻撃してくるチームが相手だったらどうだっただろう?もしそういうチームが相手だったら、どうしてもボランチの守備力が求められていたと思う。そこで突破を許せば、相手のボール保持者が藤枝の最終ラインに向き合うことになる。すると最終ラインはそのボール保持者とマークしているFWの両方を見なければならず、失点の危険性は高くなる。秋田がそのような攻撃をしてこないことを見越してのボランチ起用だったかもしれない。とにかく、心配したような中盤の守備力不足はそれほど感じなかった。

今節は前2試合のようなグラウンダーのショートおよびミドルパス主体の攻撃ではなく、前線の選手にロングボールを合わせる攻撃をミックスしていた。
ロングボールはボールを一気に相手のゴール前に送れるが、相手ディフェンダーにその攻撃を潰されて、簡単に攻撃権を手渡してしまうケースも多く、メリット・デメリットがある。しかし、この試合では前線に千葉選手、ディアマンカ選手がいた。ロングボールを収めてくれるプレーを見込める。
藤枝は、本当は最終ラインからコツコツとボールをつないで多くの選手が関与して、その多くの選手で相手ゴールを取り囲むように攻撃したいのだと思う。だが、途中で相手のプレッシャーに困ってしまうことが絶対にある。その時にプレッシャーを回避するロングボールは危機を脱する攻撃の一手になる。しかも相手にしてみれば、コツコツ攻撃とロングボール攻撃という相反する攻撃に対応しなければならない。そこに守備の破綻が発生する可能性がある。
藤枝は今節のようにロングボールを混ぜて攻撃した方がいいと思う。

千葉選手はワントップでプレーするより今節のような2列目でプレーする方がいいと思う。最終ラインやボランチなど後方から来たボールをターンしながらキープしてさらに前進するプレーがいい。ターンとその直後の1歩目、2歩目が滑らかで速い。そのまま相手のマークから抜け出すことができる。その後のチャンスを広げるインサイドキックのパスもスピードがあり球質もいい。そのプレーの長所を活かせるのが2列目のシャドーのポジションだと思う。

ワントップのディアマンカ選手はサイズもスピードもある。なので、前述したロングボール攻撃のターゲットになったが、そのプレーには合格点を付けたい。ボールを収められない場面もあったが、キープできたりヘディングで味方につなげたプレーもあった。秋田のディフェンダーは対応に神経を使っていたと思う。それだけでも相手の守備を乱す下地になるだろう。
もう少し、競り合いながらの細かいアジリティ、ボールタッチが向上すれば五分五分のボールを更にマイボールにできるだろう。あと、ヘディングの競り合いの時のジャンプだが、身体能力を活かし切っていないように見えてしまう。ジャンプする際のステップや体の使い方など改善点があるのではないか?

この試合、センターバックとゴールキーパーは秋田の直接的に向かってくる攻撃に良く耐えた。「やられた・・」と思った場面も何回かあったが耐え抜いた。次々に守備機会がやってくる大変な試合だったと思うが、集中が切れなかった。
「勝つんだ」という気持ちが前面に出たプレーだったと思う。

コーナーキックがチャンスになる気がしない。それは相手より先にボールに触れないからだ。簡単にクリアされてしまう。自チームのコーナーキックだけではなく、失点場面の秋田のコーナーキックでも相手に先に触られている。ここはなんとかならないのだろうか?

 

前節までスタメンで出ていた主力選手が多数欠場することを知って、正直なところ「勝つのは難しいかもしれない」と思った。だが、勝った。もちろん、このピンチでさらにチームが一つになって奮起した、ということがあったと思う。それはあると思うが、目に見える事象に勝利の要因を探したい。前述した守備陣の集中した守備も勝因だと思うが、なんといっても2つの得点である。最初の得点がボランチの浅倉選手、2点目が右センターバックの前田選手だった。
得点シーンを見返すと、秋田の守備陣の、この2人に対する注意が薄くなっていたように感じる。これは秋田の守備が悪いということではない。どんなチームの守備陣でも相手のフィールドプレーヤー全員に最上級の監視は付けられないからだ。確かに、自分たちのゴールを脅かそうと行動する相手プレーヤーには徹底して監視の目を緩めない。ただ、その監視センサーも万能ではない。特に、相手の動きの状況などによって、センサーの出力を一時的に、特定のゾーンに集中して放出してしまうと、監視センサーが鈍ってしまうスポットが発生することがある。
得点した2人は、そのスポットでシュートをしたのだと思う。
2人のポジションは、ボランチとセンターバックだ。上記のスポットが発生しやすい場所にポジショニングできる選手である。そのポジションに攻撃的な選手を配置していた強みが最大限に発揮された得点だったと思う。
今までの試合では相手の監視センサーが高出力のゾーンで、そのセンサーをかいくぐって得点しようとしていた。もちろん、その努力は必要で、今後も継続してセンサーをかいくぐる、あるいは力づくで上回るための連携や技術やフィジカルを進化させていく必要がある。しかし、この試合のような点の取り方も得点力を上げる一つの答えだと思う。
予想外のアクシデントによって、通常は攻撃的なポジションを担当する選手を後方のポジションに配置せざるを得なかったと思うが、期せずして怪我の功名のような形になった。しかし、この2得点の事実は今後の攻撃のヒントになると思う。是非検証して頂き、藤枝の得点オプションとして実用化して欲しいと思う。
そして、言うまでもなく浅倉選手と前田選手のシュート技術は素晴らしかった。浅倉選手のボールに触らないターン(ボールに触るターンよりもシュートにフォーカスできると思う)からの、どストレートのシュート。あれが少しでも右に変化したらゴールキーパーに触られて、左に変化したらゴールポストに弾かれていただろう。
また、前田選手のボレーシュートはインサイドキックでインパクトされている。個人的な感覚かもしれないが、高く上がって落ちてくるボールをボレーでシュートする場合、その時の体勢にもよるが、多くは足の甲で蹴るインステップキックでインパクトしたくなると思う。その方が低く抑えた強いシュートを打てるイメージがあるからだ。ふわっと浮いているようなボールを正確に捉えるのにインサイドボレーは適しているが、一定以上の高さから勢いを持って落ちてくるボールは、インサイドキックのスイングスピードとインパクト時の足の形状からボールの芯を捉えた強いシュートは打ちにくいと思う。無理に足を振ると、ボールが浮いてしまったりボテボテのゴロシュートになってしまいがちだと思う。しかし、前田選手はインサイドボレーで最高のインパクトをボールに伝えた。

2人のシュート技術が、藤枝の窮地を救ったとも言える試合だったと思う。

 

 

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