全体的な試合内容で藤枝MYFC(以下藤枝)が劣っていた、という印象は受けない。だが結果を見れば0対2でロアッソ熊本(以下熊本)に敗れてしまった。これで4連敗だ。藤枝がいま取り組んでいるサッカーが全くダメということはないと思う。実際、チャンスの数は多く作れていた。須藤監督もブレる必要はない、と言っている。だが、負けてしまった以上は問題点があるはずで、たとえそれが些細な問題であっても容赦なく結果に反映されてしまうのがプロの世界なのだと思う。ブレる必要はない。しかし細部を調整、改善する必要はある。そのようなことを考えた試合だった。
以下、この試合で藤枝に対して感じたことを書いてみたい。
●決定力が足りない。乱暴な言い方をすると「決定」させるためにサッカーをしているわけであり、この問題点はチームの総力を結集して解決するべきだと思う。
この試合で最も惜しい得点チャンスは81分に千葉選手がクロスバーに直撃させたシュートだろう。だが、個人的には30分の場面は決めて欲しかった、と同時に気になってしまった。シマブク選手とアンデルソン選手のコンビで左サイドを突破して、アンデルソン選手はカバーに来た熊本の大西選手もかわす。そして、数的有利の状態でゴール前のディアマンカ選手へパスが送られた。しかし、ボールがディアマンカ選手の体のやや後ろに届く形になってしまう。その処理に費やしたわずかな時間の分だけ上村選手の戻りが間に合い、シュートがブロックされてしまった。この場面を見て、なぜディアマンカ選手はアンデルソン選手に体を正対させながらパスを迎え、ダイレクトで打たなかったのか?と思った。そうしていれば、多少のパスのズレはボールをインパクトする位置の調整で補えたのではないか?と感じた。確かにパスがズレることで難易度は上がるが、少なくともシュートを枠内にもっていくことはできたような気がするのだ。たぶん、ディアマンカ選手はランニングの勢いのまま、体の前方でパスを捉えたかったのかと思う。だとするとアンデルソン選手のパスが悪いとなるが、そもそも、ある一点でパスを捉えることになるため難易度が高い要求になる。やはり、アンデルソン選手に対して顔を見せるようにアプローチした方がパスも出しやすいし、シュートも打ち易いと思える。走る方向とか、体の向きだとかは、選手個人の意思決定であり、たとえ悪い結果になったとしても仕方のないことかもしれない。しかし、正解というか、可能性の高いシュート技術はあるはずで、そこは徹底して追求して欲しいと思う。この試合でも上記のような決定機をものにできない場面がいくつもあった。現在のチーム状況を考えるとシュート技術の見直し、修正、向上が喫緊の課題ではないだろうか。
〇中村選手の空中戦がやはり強い。
中村選手の空中戦は守備、攻撃の両面においてかなりの確率で勝利できる。守備では相手のロングボールを飛距離のあるヘディングではね返せる。攻撃では、既に実績があるように得点も狙える。あるいは、ファーサイドで競り勝ってチャンスボールをゴール前に折り返すこともできる。これだけ明らかな武器がある中村選手に頼もしさと希望を感じる。今後、試合に出る中で屈強な相手選手に競り負ける場面も多く経験するかもしれないが、少しでも多くの経験を積みながら自分の武器を更に磨き上げて欲しい。
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