2025年3月30日 J2リーグ第7節 藤枝MYFC 対 V・ファーレン長崎

Jリーグ

現在上位のV・ファーレン長崎(以下長崎)に、点の取り合いの末3-2で競り勝った。開幕戦の敗戦以降はアウェイで引き分け、ホームで勝利という試合が続き、これで直近6試合は負けなしである。最近、藤枝MYFC(以下藤枝)に対して、地に足をつけてJ2のリーグ戦を戦えているような安心感を感じるようになった。攻撃でも守備でもなすべきことをなし、その中で自分たちのストロングポイントを出している、相手と互角以上に戦えている、そのような安心感だろうか。まだまだ歴史の浅いクラブかもしれないが、藤枝なりの成功と失敗を重ねながら、勝てるチーム像にアジャストする総合力がついてきている。そんな気がする。とは言うものの、やはり試合の中では良い点悪い点が混在し、ムラもあり、もちろん盤石の強さなどは何も手に入れていないと思う。これからも試行錯誤しながら戦うことになるだろう。

以下、この試合で藤枝に対して感じたことを書いてみたい。

●サイドの深いところへ縦方向に侵入してから攻撃の向きを急にゴール方向へ変える相手の動きに幻惑されて失点した。また、失点場面ではボールホルダーに寄せることができておらず、効果的なラストパスを出されている。

〇クロスまたはコーナーキックなどの空中戦からピンチになる場面が少なくなってきた。

〇いい意味で、攻撃スタイルのこだわりを感じることがなくなってきた。

〇しかし、同点に追いつかれた後にはロングボールを蹴らず、丁寧にパスを繋いで攻撃した。ボールを保持する攻撃スタイルにこだわってペースを奪い返し、決勝点を挙げたのは見事だった。

 

全般的に、ボール保持者とパスの受け手に対するプレッシャーは悪くなかったと思う。しかし、後半立て続けに失点した時は、そのプレッシャーが不十分だった。最初の失点場面、長崎の攻撃で左サイドの深いエリアに山崎選手が走り込みパスを受け、森選手がマークにつく。山崎選手のフォローには米田選手が後方から近づき、川上選手がマークする。山崎選手は縦へ突破せずに、フォローの選手にパスを戻す。しかし、このパスは米田選手ではなく、もう一段後方にいた加藤選手へのパスだった。藤枝は加藤選手へのマークを外してしまっていて、完全なフリー状態。さらに米田選手が体の向きを急激に変えてゴール方向へ斜めにダッシュする。マークしていた川上選手はこの動きを予測できずフリーにしてしまう。そこへ加藤選手から簡単にパスが通り、カットインの短いドリブルから米田選手がゴールを決めた。ボールホルダーの加藤選手、そしてパスの受け手の米田選手をフリーにしてしまったミスだと思う。加藤選手へのパスを予測してマークしなければならなかったし、「相手とゴールを結んだ線上に立つ」という守備原則からすれば、川上選手はもっと中央寄りに絞って米田選手を監視するべきだった。そして約1分後の2失点目も同様に、ボールホルダーのマルコス選手、パスの受け手の関口選手の2人をフリーにしてしまった。この1分間の守備については残念である。試合を通じてこの時だけ違うチームになってしまったようだった。なぜこの1分間の状況が生まれてしまったのか、その要因を分析して更に守備を強化して欲しい。

第4節のヴァンフォーレ甲府戦の時に、コーナーキックがピンチになりやすいと感じ、実際にコーナーキックから2失点した。しかし、今節では対コーナーキック、対クロス、あるいは対ロングスローの守備が安定していた。試合を通じて20回以上これらの守備機会があったと思うが、危なかったのはコーナーキックからのマテウス選手、そしてクロスからのフアンマ選手のヘディングの2本だっただろうか。もっとも、この2本は決められていてもおかしくないシーンだったが・・・それでも第4節の状況からは改善されていると思う。改善の内容としては、空中戦に待機する選手の立ち位置のバランスなのだろうか?FWからDFまで、いろいろな選手が万遍なくクリアしている。ボールの落下地点のエリア担当者が責任を持って競り合っているからだと思う。

藤枝の攻撃と言えば、GKも含めた11人がボールを保持しながらショートパスを繋ぎドリブルを織り交ぜ、手数をかけて攻撃するスタイルだった。基本的にはそうだった。だが、今現在はそのスタイルにこだわっているようには感じられない。「適切だと判断した味方にパスを出す」というシンプルな攻撃をしているに過ぎないと感じる。その味方が近くにいればショートパスになり、遠くにいればロングパスになる。それだけである。ボール保持、ショートパス、ドリブルの攻撃スタイルもそれはそれで魅力的だった。確かに見ていて面白かったし、スタイルにこだわるチームを誇りに感じるような気持ちもあった。しかし、今の攻撃スタイルの方が強さや怖さがあると思う。マニアックな魅力は多少減少したかもしれない。だが、プレーする選手の納得感や安定感は高まっていると思う。また、相手によって相性というものができたり、戦い方を対策されたりすることも起こりにくいと思う。

後半早々、あっという間に追いつかれた時、正直なところ「もうだめだ」と思った。勢いが違う、やはり長崎は強い、逆転されるのは時間の問題だ、そう思ってしまった。だが、直後に杉田選手のロングスルーパスからディアマンカ選手がシュートを放ち、チームに再び血が通い出す。そしてそこから意を決したかのように、藤枝はショートパスとドリブル主体の攻撃を開始する。58:43に北村選手のキャッチングでマイボールにすると、ここで追求してきたポゼッションサッカーを展開する。途中、長崎の強烈なプレスを受けてボールを奪われかけるが、それでも執念で攻撃を継続する。そして60:40、浅倉選手の素晴らしいゴールが生まれた。この約2分間の攻撃は、まさに藤枝が以前から積み上げてきたものだった。形勢不利の状況で選手はこの攻撃スタイルを選択し、ボールを次々と仲間に託し続けたのだ。改めてこの2分間を見返してみると感動を覚える。困難な状況に追い込まれたが、一丸となってその状況を打破した姿に胸が熱くなる。良い試合を見せてもらった。長いシーズンの中で今後も苦しい局面に幾度となく襲われることだろうが、今のこのチームなら切り抜けてくれるような気がしている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました