2023年4月8日(土) @藤枝総合運動公園サッカー場
J2リーグの第8節、藤枝MYFCのホームゲームを藤枝市の藤枝総合運動公園サッカー場で観戦しました。
天気は良いのですが、風が強いです。多少は試合に影響するかもしれません。
観戦席はメインスタンド(依然としてバックスタンドは改修中です)のS席でこのような眺めです。
藤枝は前節の対町田戦、開始早々の失点を取り返せずに敗戦。
ある程度は、パスをつなぐ自分たちのサッカーができていたと思いますが、どのように得点を取るかという点に課題を残しました。
この試合では、その課題に対する解答を示すと共に、第2節以来のホームでの勝利をあげたいところです。
一方の岡山は、最近の3試合で勝ちがありません。
開幕から第4節までに、2勝2分けと好スタートを切りましたが、やや失速している感があります。
上位グループに踏みとどまるためにも、この試合では勝利が必要となるでしょう。
【3分】
藤枝のDFラインからのロングボールが大きくなり、岡山GK①堀田選手がペナルティーエリア外に出てクリアーしようとする。
そこに、藤枝⑨渡邉選手がアタックして堀田選手がキックしたボールにチャージする。
こぼれた浮き球を自らゴールに押し込もうとするが、うまくバウンドが合わずにゴールならず。
ロングボールが強い風に多少押し戻されて、堀田選手の予測が難しかったように見えた。
【5分】
左サイドで藤枝㉗榎本選手がドリブルを開始。
相手DFのチェックを受けながら縦方向に粘り強くドリブルで進む。
ゴールラインまで進むと、進行角度を変えてゴールラインと並行にドリブルする。
中への折り返しはDFがカット。CKを獲得した。
【7分】
左サイドでボールを持った藤枝⑩横山選手から、岡山のDFとMFのすき間に入った⑧岩淵選手へパスが通る、岩淵選手は転がって来たボールをそのまま同じ方向へダイレクトで(難度高い)ゴール前へ流す。
走り込んで来た渡邉選手は、岡山㉓ヨルディ バイス選手のチェックを受け、シュートできなかった。
【12分】
岡山⑱櫻川選手がペナルティーの手前でポストプレー。
落としたボールを⑧ステファン ムーク選手が右サイド深くにスルーパス。
走り込んだ⑭田中選手がファーサイドにフワッとしたボールをあげる。
そこに櫻川選手が圧倒的な高さのヘディングシュート!
しかし、惜しくも枠を外してしまった。
190cm94kgの櫻川選手。ジャンプ力もあり、体の厚みも凄いので、彼にヘディングで競り勝つのは物理的に無理じゃないか?と思ってしまう。
【17分】
中盤のこぼれ球を藤枝⑥新井選手が前線へパス。
そのボールが櫻川選手の大きな体に当たり、味方の田中選手へ渡る。
すかさず、そのまま突進してきた櫻川選手へショートパス。
櫻川選手はゴール前までドリブルで侵入してから、正面から左足でグラウンダーのシュート!
ゴールかと思われたが、藤枝GK㊶北村選手が渾身のダイビングから右手でさわり、弾き出す。
ファインプレーで絶体絶命のピンチを防いだ。
それにしても、櫻川選手はヘディングだけでなく、ドリブルでもその体の厚みで、相手のボールへのチャレンジを困難にしてしまう。
脅威のフィジカルである。
【22分】
岡山のCK、⑤柳選手が中央でフリーになり完璧なヘディングシュートを決めた。
藤枝としては、柳選手のマーク役が櫻川選手と絡み合い、柳選手の動きについて行けなくなってしまったのが痛かった。
藤枝MYFC 0-1 ファジアーノ岡山
【25分】
藤枝GK北村選手のフィードをカットした⑥輪笠選手から櫻川選手へクロスが渡る。
櫻川選手はヘディングで中央に走り込んで来たステファン ムーク選手へ折り返す。
しかし、ステファン ムーク選手のヘディングシュートはクロスバーを触りながらゴール上に外れてしまった。
引き続いて、櫻川選手が絶対的な空中戦の強さを見せている。
藤枝は試合の序盤こそチャンスを作ったが、その後は岡山に試合を支配されてしまった。
藤枝の生命線である細かいパスワークが消されてしまっているのだ。
藤枝は両サイドでの局地戦、細かいパスワークで相手の守備陣を崩してからゴール前に侵入して行くパターンを得意としている。
しかし、ここまで岡山のサイドでの守備が非常に固い。
藤枝はサイドの局地戦では、大体4人の選手が関与して、相手の守備を突破しようとしている。
これに対して岡山は4バックの、そのサイド寄りの2人、MFの4人のうち逆サイドの一番遠くの選手を除く3人、そしてFWの2人のうち、そのサイド寄りの1人の計6人が、藤枝のサイド攻略に対応している状況だ。
数的有利を作って守れているので、藤枝が得意とするパスワークを寸断できているのだと思う。
【42分】
相手のクリアを右サイドで拾った藤枝㉔久保選手が、ペナルティーエリアの角付近からペナルティースポット付近へ鋭い斜めのパスを送る。
入って来た榎本選手がダイレクトでライナーのシュート!
浮いたボールをうまくボレーでミートしたが、惜しくもボールはクロスバーの上を越えてしまった。
前半はこのまま終了。
岡山が相手のストロングポイントを消して、自分たちのサッカーを見せた前半だった。
【56分】
後半も岡山の厳しい守備に効果的な攻撃ができない藤枝だったが、中盤でのルーズボールを新井選手が左サイドのオープンスペースに送り込む。
すると、岡山の柳選手との競り合いでこぼれたボールを渡邉選手がドリブルで切り返しながらキープする。
奪われそうになる前にフォローの横山選手に預ける。
横山選手もドリブルで前進しようとするが、カバーに来たステファン ムーク選手にカットされてしまう。
しかし、相手のクリアを拾って、再び横山選手にボールが渡るとドリブルを再開。
一人二人と相手をかわす。
跳ね返されたボールを⑮杉田選手がペナルティーエリア内の岩淵選手に当てる。
岩淵選手は走り込んできた横山選手に短く落とすが、これは合わなかった。
もし、合っていれば密集地帯を突破できていたかもしれない。
前半から、岡山の組織的な守備に苦しんでいた藤枝であったが、この場面ではドリブルでの突破を効果的に使いながら岡山の守備を揺さぶっていた。
ドリブルで直近の相手のマークを1枚はがすことができれば、そこから芋づる式にディフェンスの穴が生まれる可能性がある。
また、ドリブルでゴール近くまで侵入すると、相手の守備がより密集してくる。
そうすると、中盤の広い地域での、相手を追い込むような守りかたとは違う状況になってくる。
エリア内ということもあり、積極的にはアタックしにくい状況にもなる。
今まで、中盤での攻防では岡山に追い込まれ、プレッシャーを受けて後手に回っていた傾向があった。
しかし、ゴール近くまでボールを運べれば、相手は待ち構えるような比較的静的な守備に変化する。
そこで、藤枝らしいドリブルや短いパス交換のコンビネーションが出てくれば、相手の守備網を突破できるかもしれない。
そんな可能性を感じさせるような攻撃の場面だった。
【61分】
藤枝の新井選手が、受けた横パスをダイレクトでペナルティーエリア内の榎本選手に送る。
榎本選手はワントラップで横にいた横山選手に渡す。
横山選手はドリブルの構えをしてから、さらに横にいた久保選手へ渡す。
久保選手はマークする選手を前に置きながらもシュートをうつが、ボールはゴールの上に外れてしまった。
【62分】
藤枝がカウンター攻撃を仕掛ける。
久保選手がドリブルで持ち上がり、慌てて帰陣する2人のCBの間を通すグラウンダーのパスを岩淵選手に送る。
エリア内で受けた岩淵選手はさらに走り込んで来た渡邉選手にラストパスを送るが、渡邉選手の後ろ側にボールが通り過ぎるパスになってしまった。
【75分】
相手陣地の左サイドでパスを受けた藤枝の榎本選手が、ドリブルでマークをかわしてペナルティエリア内に侵入。
ゴール前に走り込んだ渡邉選手へ短いクロスを送るが渡邉選手のシュートは空振りとなってしまった。
【75分】
再び左サイドの榎本選手にボールが渡る。
ペナルティエリア内でドリブルを仕掛ける。先程と同じような場面だ。
左右のインサイドでボールを持ち替えながら、マークする相手より半歩先に出た瞬間にゴール前にクロスをおくる。
ゴール前で待ち構えていた、交代で入っていた㉓徳永選手が体で押し込み同点に追いつく。
藤枝MYFC 1-1 ファジアーノ岡山
【77分】
同点に追いついた直後、またも起点は榎本選手だった。
左サイドのライン際でボールを持った榎本選手だが、今度は縦方向ではなく内側へカットインする。
そしてドリブルしながら⑦水野選手(後半途中にIN)へパス。
水野選手は、方向転換してゴール方向へ走った榎本選手に浮き球のリターンパスを返す。
榎本選手は飛び出したGKの目前で、ゴール前へ浮いたボールを折り返す。
そのボールを、戻りながらクリアしようとしたヨルディ バイス選手がオウンゴール。
藤枝MYFC 2ー1 ファジアーノ岡山
ここから岡山は怒涛のパワープレーに移行する。
前線中央に櫻川選手、交代で入ったルカオ選手(191cm)、CBの柳選手を集結させて、クロス、ロングスローなどの攻撃を多用してきた。
【91分】
岡山がCKのクリアボールを拾い、左サイドからクロスを入れる。
このクロスは渡邉選手がヘディングでクリアするが、そのクリアボールの落下地点に入ったヨルディバイス選手が左足でボレーシュート!
正確にミートされたシュートにGK北村選手は反応できず、アディショナルタイムに同点ゴールが決まった。
藤枝MYFC 2ー2 ファジアーノ岡山
後半になってスリリングな展開となった。見ていて非常に面白い試合だった。
【チーム別所感:藤枝MYFC】
特に前半は、相手の組織的なプレスを受けて自分たちのパスワークが十分に機能しなかったと思う。
藤枝はWBの久保、榎本両選手を中心としたサイド攻撃を仕掛けたいがために、持ち味の細かいパスワークをタッチライン際のエリアで展開させるケースが多い。
タッチラインの外側からはプレスが来ることはないので、攻撃側にそのメリットはあるのだが、この試合では守備側の岡山に、タッチライン際での守備側のメリットを利用された印象がある。
それは、藤枝の選手をタッチライン際の逃げられないエリアへ追い詰められるというメリットだ。
数的有利を保ちながら、縦・横・後ろの3方向からプレスをかける岡山の守備に藤枝の選手のパスワークは制限されてしまった。
今後も、対藤枝のパスワークとして同じような対策を講じられる可能性がある。
その時は、プレスの包囲網の外側を動く選手の動きが重要になると思う。
この試合の18分に横山選手が包囲網の外側、ボール保持者の真横の方向に立ち、岡山の選手の間隙を通すパスを呼び込んだ。
続く19分にはDFの小笠原選手が相手SBの背後へ走り込み、包囲網を突破するパスを引き出した。
ただし包囲網が、ある程度まで狭くなってしまうとボールを外へ逃がすことは難しくなってしまう。
包囲の危険レベルを網の中と外の選手が共有して、臨機応変に対応することが必要になると感じた。
次に、これも特に前半だったが、GKからのビルドアップが封じられた時間帯があった。
岡山の2トップと攻撃的MFに圧力をかけられて、ロングキックに頼っていた。
これについても改善するべきだと思う。
藤枝が得点するパターンとして、ペナルティエリア内やその近辺までボールを運んでからのシュート、ラストパスが第一に考えられると思う。
そのためには、ピッチのあらゆる場所でボールの保持を放棄しない戦術が必要になる。
リーグも8節が終わったが、これからは、今日の岡山のように藤枝の長所を消しにくるチームが多くなってくるだろう。
相手の対策の、さらに上を行く対策を実行する力が、求められてくると思う。
【チーム別所感:ファジアーノ岡山】
岡山の試合を観戦するのは初めてだったが、一見してCBとFWのフィジカルが強いチームだと感じた。
サッカーはFWが点を取り、CBが守れば勝てる、と言ってしまうと乱暴ですが、個人的にはFWとCBは非常に大事なポジションだと思っている。
実際にFWの櫻川選手のフィジカルは凄かった。岡山の前半の得点は1点だったが(その1点はCBの柳選手のヘディングでの得点だった)櫻川選手が関与したプレーで、あと2点取れていても全く不思議ではなかった。
また、前述したように、MFの4人を中心にした組織的な守備も印象的だった。
前線と最終ラインのフィジカルが高く、両方で得点が取れる。
中盤の組織力、運動量も高いと思う。
8節が終わって2勝5分1敗の成績で、悪くはないが今一つ突き抜けていない印象だ。
得点力があるけれど、同時に失点もしてしまい、引き分ける試合が多いようだ。
今日の試合がまさにそのような展開で、同じような攻撃で2失点を立て続けに喫してしまった。
しかし、フィジカルの高さを前面に出した攻撃は、今後もコンスタントに得点できるように思うので、徐々に上位へ上がって行けるチームだと思う。
コメント