2023年4月16日(日) @NDソフトスタジアム山形
J2リーグ第10節、モンテディオ山形 対 ツエーゲン金沢の試合をDAZN観戦しました。
1ヵ月以上前、3月の初旬にモンテディオ山形対ジュビロ磐田の一戦をヤマハスタジアムで観戦したことがありました。第3節でした。
当時は山形が、開幕後に2連勝して磐田戦を迎えており、観戦していてもFWには力がありそうだったし、セットプレーも武器になりそうな印象を受けました。
1-2で磐田には惜敗してしまいましたが、今後の試合に期待を持てるような内容だったと記憶しています。
しかし、山形はそこから7連敗を喫してしまうのです。
3月の時点では、そのような事態になってしまうことが予想できませんでした。
なにか原因があるのでしょうか。
あるとすればどんな原因なのでしょうか。
対するツエーゲン金沢は、前節まで4勝5敗の成績です。
最近の数試合は、試合ごとに選手を入れ替えながら臨んでいるようです。
ここまで引き分けの試合がなく、勝ったり負けたりの成績のため、先発メンバーを試行錯誤しながら決めているのでしょうか。
ただ、前節に3-0で快勝しながら、今節は中3日のスケジュールのためか、大きく先発メンバーを入れ替えています。
先発メンバーが固定できないというよりは、選手層が厚いチームなので、その時のベストの布陣を組んでいるのだと思います。
山形は、是が非でも連敗を食い止めたい一戦になります。
また、今まで金沢の試合をじっくりと見たことがないので、どんな試合をするのか楽しみです。
【1分】
山形がキックオフのボールを右サイドに展開、そこからのクロスのこぼれ球を②成瀬選手が左足のハーフボレーでシュート!
枠を捉えるが、金沢GK①白井選手が横に飛んでセーブする。
勝利が是非とも欲しい山形。幸先の良いスタートである。
【4分】
金沢㉗レオ バイーア選手が、左サイドでのボールキープから縦へ単独突破しようとした際にファールを受ける。
自身で蹴った左足クロスのFKに金沢⑨林選手が飛び込むも、山形④西村選手がその前でクリアする。
【10分】
金沢DF㊴庄司選手から右SB㉕小島選手へフィードが入る。
小島選手は、山形SBの背後のスペースへ走り込んだ加藤選手へダイレクトでパスを送る。
加藤選手はフリーでシュートをうったが、GKの正面に飛んでしまった。
【17分】
山形㉑田中選手が左サイドでボールを持つ。
すると、田中選手をマークする金沢DFの背後に、⑬河合選手がすかさず走り込む。
田中選手は河合選手へ、短いパスを入れる。
フリーの河合選手がグラウンダーのクロスを入れたが、ゴール前の味方には合わなかった。
単純にクロスを入れるのではなく、相手の意表を突いた良い攻撃だった。
【20分】
中盤のこぼれ球を拾った田中選手が何気ない感じで縦パスを送る。
5〜6m先の味方にパスを送るような蹴り方だったが、30mほど先の河合選手へのスルーパスになる。
金沢、庄司選手のチェックを受けてシュートはうてなかったが、河合選手が抜け出せていれば決定的なチャンスになる場面だった。
【24分】
金沢⑭石原選手が左サイドをフリードリブルで上がる。
中央に金沢の選手が3人待っていた。
通常なら、その3人の誰かにラストパスを送るような状況だった。
すると、石原選手はそのままシュートを選択する。
ボールは枠を捉えずに、ゴールの右上へ外れてしまった。
中央の味方へパスを送っていれば良かったのに、となんとなく思ってしまう。
確かに、そうしていれば決定的なチャンス、あるいはゴールまであったかもしれない。
しかし、この場面でシュートを選択した判断とシュートの技術には非凡なものがあると思った。
ゴールに対して左45度の角度で、ペナルティーエリアに入ったばかりの位置。
石原選手の右側から山形の西村選手が迫っていたので、グラウンダーでゴールの右サイドネットを狙うシュートは選択しにくかった。
そこで、石原選手は中央へラストパスを送るような素振りを見せながら、左足のインフロントでボールの下側を蹴り、GK①後藤選手の頭より高い位置にボールを上げる。
ボールはその後、重力を受けながら高度を下げていき、クロスバーと右ポストの接合部あたりにゴールインするかと思われた。
しかし、惜しくも右へカーブし過ぎて外れてしまった。
シュートの打ち出しをもう少し左側へずらしていたら、入っていたと思う。
インフロントでボールの下側をチョップするようにして、GKの頭上へ素早くボールを上げてしまってから、ゴールへ向かう軌道に乗せてしまう技術がいい。
石原選手にはシュートからゴールまでの、ボールが描く軌道がイメージできていたはずである。
このシュートのように十分な意図を持ったシュートは、見ていて面白い。
【31分】
金沢⑮奥田選手のパスをペナルティエリア内で受けた加藤選手が、DFを2人かわして浮き球のセンタリングを送る。
パスを出した後で走り込んで来た奥田選手の頭には、あと少し合わなかった。
加藤選手がキレのあるドリブル、ボールキープでチャンスを作る場面が目立っている。
前半はこのまま、お互いに無得点のままで終了した。
【46分】
山形⑪藤本選手がボールキープから左サイドへサイドチェンジ。
河合選手が左サイドの深いところまでボールを持ち込む。
チェックに来た金沢の小島選手を内側へのカットインでかわすと、思い切りよくシュート!
GK白井選手が確実に抑えたが、山形が後半を積極的にスタートした。
【51分】
続いても山形。
②成瀬選手が自陣右サイドの位置から、田中選手とのパス交換でセンターサークル付近に進出する。
その位置から、相手DF2人の門を通す縦パスを田中選手に送る。
田中選手は、相手CBの背後に隠れるようにポジショニングしている藤本選手へ正確なパスを通す。
田中選手は前方へワントラップしてシュートする、という選択はしないで、一度後方へトラップしてCBをかわすと共に、右足でシュートした。
金沢の庄司選手に当たって少し方向が変わったボールは、右ポストのわずか外側を外れていった。
【57分】
山形のCK、西村選手が中央で完璧なヘディングシュートを決めた。
しかし、ゴールが取り消されてしまう。
GKの白井選手が、山形の田中選手に押し倒されるファールを受けたとの判定のようだった。
この場面のスローVTRを見ると、田中選手に倒されるというよりは、白井選手が田中選手を引き倒しているようにも見えた。
もし、J2にVARの制度があったら、この得点シーンについてVARの介入があったかもしれない。
主審・副審は、常に間違いの無い判定を下し続けることは不可能だ。
どうしても事象を十分に視認できない場面も起こりうるし、自ら下した判定に狂いが生じることもある。
「それも含めてサッカーである」という考えがあるし、私もそう思っていた。
しかし、今や主要なサッカーシーンではVARが普及してしまった。
J1のリーグ戦では、全試合VARが運用されている。
例えば、得点の場面でVARの対象となるような事象があれば、その事象についてVARが介入して詳細なチェックが行われる。
そして、もし明らかな判定の間違いということがあれば、主審に最終判断を促し、最終的に正しい判定が下されるようになる。
大多数の人は、その判定を受け入れることに抵抗が無いだろう。
VARが審判の肉眼での判定を、多角的な映像を元に補完しているからだ。
VARの下では、実際に起こった事象に対してサッカーのルールが適切に適用される。
ただ、それだけのシンプルなことになった。
一方でJ2リーグでは、「それも含めてサッカーである」と考えるしかない試合が発生している。
何だか哲学的だ。
VARの効果を知ってしまった観客、選手が、その差に疑問を感じることはあるはずだ。
何より、VARが無い試合を裁く審判への影響が懸念される。
VARの出現によって、それが運用されない試合における判定の完璧さを過度に求められてしまう可能性はないだろうか。
VARという革新的な技術が運用されている領域がある以上、その領域はできる限り普遍化して欲しいと思う。
【62分】
左サイドでボールキープしたレオ バイーア選手がペナルティーエリア内から左足でクロスを入れる。
GKの後藤選手が弾いたボールが、ゴール前に詰めた加藤選手へのトスのような形になってしまう。
加藤選手はそのボールを難なくヘディングで押し込み、金沢が先制した。
モンテディオ山形 0ー1 ツエーゲン金沢
山形としては、ペナルティエリア内に侵入したレオ バイーア選手へのチェックが一瞬ゆるみ、クロスを上げられてしまった。
また、GK後藤選手が迷いながらの弾き方になってしまい、はっきりとクリアできなかったのが悔やまれる。
【73分】
金沢、庄司選手から右サイドの小島選手にピンポイントでパスが入る。
小島選手はワントラップして、眼前のマーカーである⑥山田選手に向かってパスを出した。
するとそのパスは山田選手の股のあいだを通過して、走り込んで来た加藤選手にピッタリと渡る。
加藤選手はフリーで中央へ折り返したが、味方には合わなかった。
最近、この小島選手のような、意図的な股抜きパスを見かけるようになって来た。
よくサイドの選手が中央へカットインして、マークするDFの股下を狙ってシュートする、というプレーはあったような気がする。
そのようなイチかバチかのような局面ではなく、結構普通の局面でマーカーの股下を狙ってパスを送るプレーが増えてきているように感じる。
何しろマーカーの体の中心をボールが通るので、パスをカットされるというデメリットがあると思う。
しかし、通すことができればマーカーの真裏のスペースにチャンスが生まれるメリットがあるのだ。
デメリットよりメリットを重視して、そのようなパス手段も一つの選択肢になりつつあるのだろうか。
もちろん、自陣では出しにくいプレーであるが、攻撃時、しかもなるべく相手陣地の深い場所では有効なプレーだと思う。
【74分】
山形のCB西村選手が右サイド寄りの最終ラインから、突然グラウンダーのロングフィードを送る。
このボールがするするとピッチを滑り、ペナルティエリアのすぐ外側で田中選手にピタリと合った。
田中選手は相手DFを左側に置きながら決定的な右足シュート!
このシュートをGK白井選手が体に当てるナイスセーブで得点を許さなかった。
【82分】
中央をドリブルで持ち上がった山形⑧小西選手(後半からIN)が、左サイドの⑩チアゴ アウベス選手(後半からIN)へ展開。
チアゴ アウベス選手はすぐに中央へクロスを送る。
クロスを中央の⑨デラトーレ選手(同じく後半からIN)が強烈なヘディングシュート!
だが、ゴール左へそれてしまった。
【91分】
山形、チアゴ アウベス選手が左サイドに張った㉕國分選手(後半からIN)へ展開する。
國分選手は左足で絶妙なフィーリングのクロスを送る。
しかし、ボールは中央へ走り込んだデラトーレ選手の頭上を越えてしまう。
その裏にいた金沢の庄司選手が辛くもCKに逃げた
どうしても1点が欲しい山形が、ゴール前にボールを集めるようになってきた。
しかし、試合はこのまま終了する。
後半に攻撃的な選手を投入していった山形だったが、ついに得点は生まれなかった。
【チーム別所感:モンテディオ山形】
この敗戦で8連敗という結果になってしまった。
選手個々人の判断に任せてパス主体の攻撃を組み立てようとしているがうまく機能していない、という印象を受けた。
前半は、田中選手の急所を突くパスと河合選手の動き出しで、散発的だがチャンスを作ることができた。しかし、全般的には攻めあぐねる時間帯が多かったように思う。
誰かがボールを持ったとき、パスを出すことが可能な味方が1人は見つけられる。
そして、大抵のケースではその味方にパスを出す。
パスを受けた選手はその次にパスを出せる味方を探す。1人か2人の味方を見つける。
その選手にパスを出す。そしてそのパスを受けた選手は・・・・・
と、いうような攻撃をしているうちにミスが生じたり、相手にボールを奪われたりして、攻撃が終わってしまう場面が多かったと思う。
なにより、上記のような攻撃では金沢DF陣の予測がしやすい。
予測可能な相手のパスに対応しながら、ボールを奪うチャンスを落ち着いて見極めれば良いのだ。
どんなチームにも共通することであるが、得点を取るためには得点を取る行動が起こしやすい場所でボールを扱う必要がある。
いわゆるバイタルエリアというような地域である。
そのような地域でのプレー機会が少なかった。従って、金沢のDFが慌てるような場面も少なかったと思う。
山形としては、あと10〜20mぐらい押し上げた位置で今日のようなパス回しを行うことができれば、もっと得点のチャンスは巡ってくると思う。
もちろん、相手のプレッシャーも厳しくなるが、そのプレッシャーを上回る連携をチーム内で共有すればいい。
また、両サイドからクロス、センタリングを上げるという、サッカーの試合で頻出する攻撃も思いのほか出せていなかった。
典型的なウイングタイプの選手がいないのかもしれないが、相手DF陣の視野角度を広げさせるという意味でも、やはりサイド攻撃は有効である。
時には執拗に同じサイドを攻め続けるような、クセのある攻撃も必要だと思う。
今日は、金沢のDF陣に同じような視点、同じようなリズムで、安定した守備をさせてしまったのではないでしょうか。
この試合の後半では、攻撃陣を入れ替えてロングボール主体の圧力の高い攻撃でチャンスを作った。
試合を通じてこのようなパワープレーを繰り出すのは難しいと思うが、どこかで相手の予測、能力を上回るパフォーマンスを出さないと得点の可能性は低い。
まだ時間はある。
今こそじっくりとチーム内での戦略を醸成させて、勝利をつかんでもらいたい。
次節:対 東京ヴェルディ(アウェイ)
【チーム別所感:ツエーゲン金沢】
一見なにげないサッカーをしているように見えるが、相手がボールを保持した時の守備に規律があると思った。
山形の選手がボールを持ったとき、必ずその選手には厳しいマークをつける。(最終ラインまでは追いかけないが)
また、そのマークについたマーカーの味方のフォローが必ず控える。そして相手がパスを出した先の選手に対応する。
ボール保持者にマークをかわされて縦方向にパス出しされても、そのパスの先でもちゃんとマークについている。
この試合で山形が攻めあぐねたと前述したが、その背景にはこのような金沢の忠実な守備があったと思う。
また、CBの2人は対人能力が高く、アタッカーをつぶせるし、そもそも危険人物をフリーにすることがない。
かなりチームの守備能力は高いと見た。先制点を奪えば余計にその能力が強化されると思う。
この試合のように。
あとは、両サイドのSBとSHの関係性で、あるいは個人能力で、それぞれのサイドを攻略する攻撃にも強みがあると思った。
右サイドはSBの小島選手とSHの加藤選手である。
また、左サイドはSBのレオ バイーア選手とSHの石原選手である。
どちらのサイドもいい。
この攻撃がしっかりしているので、金沢はブレずに自信を持って攻撃できていると思う。
次節:対 ジュビロ磐田(ホーム)
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