2023年3月18日(土) @エコパスタジアム
J2での静岡ダービーの一戦を、袋井市のエコパスタジアムで観戦してきました。
第4節まで、磐田は1勝1分け2敗と調子に乗れていません。
前節の大宮との試合では、アディショナルタイムに失点して敗れています。
一方の清水は、全て引き分けの4分け。
清水の試合を見ていても、優勢に進んでいるように見えるのですが、なぜかここまで勝てていません。
当然ですが両チームとも、負けてしまうと非常に悪い流れになってしまいます。
勝利を賭けた激しい戦いが予想される一戦になりそうです。
【観戦席】
メインスタンド、ホームチーム寄りのコーナー部分の席でした。(SA指定席)
エコパは、陸上用トラックがあるので、その分ピッチからは遠くなります。
遠い方のゴール付近は、少し状況がわかりにくいな、という印象の席でした。
ピッチに近い席はどうかわかりませんが、この席は屋根があるおかげで雨には濡れませんでした。
天候は雨。そんなに強くは降っていませんが、静岡県では昨夜から降り続いているようです。
ピッチにはかなりの雨がしみ込んでいるように見えました。
ただ、水が浮いてきてボールが止まってしまう、ということはないようです。
【試合開始】
雨が降る中キックオフ。早速試合が動く。
磐田⑱ジャーメイン選手が、味方のクリアしたボールを自陣でマイボールにした後、前方やや左サイド寄りに縦パスを送る。
ボールは、清水の右SBとCBのど真ん中を通る。そこへ走り込んだのが磐田㊷後藤選手だ。
ボールと清水④高橋選手のあいだに自分の体を入れ込みながらトップスピードをキープする。
そのまま左足で放ったシュートは、清水GK57権田選手を破った。
磐田1-0清水
【12分】
磐田陣内のコーナー付近で清水⑨チアゴ サンタナ選手がボールをキープする。
磐田DFが2人がかりで奪いにいっても奪われない。
プレーを継続して鋭いセンタリングを送る。磐田DFがクリアした浮き球を㊺北川選手がヘディングで競り勝つ。こぼれたボールを⑮岸本選手がシュートしたが、ゴールには結び付かなかった。
【22分】
清水のCKからのボールをチアゴ サンタナ選手がヘディングシュート。
惜しくも右ポストを直撃する。
【36分】
清水のFKからゴール前に送られたボールを、磐田GK梶川選手がキャッチ。
そこからのスタートで、⑰鈴木選手、㉞針谷選手、㊿遠藤選手のパスワークから送られたボールを、ジャーメイン選手が清水の選手と入れ替わるように抜け出してゴール前まで迫った。
ジャーメイン選手は潰されてしまったが、こぼれたボールに反応した⑭松本選手がフリーでシュート!
このピンチをGK権田選手が、松本選手を良く見ながらの素早い反応でセーブ!
決定的なピンチを防いだ。
【42分】
清水がDFラインで回していたボールを㉙ディサロ選手、⑯西澤選手、チアゴ サンタナ選手の順に、縦方向へ渡していく。
最後、フリーとなったサンタナ選手が左足でゴールへ強烈なシュートを突き刺した。
磐田1-1清水
清水が、磐田の守備範囲をうまくかわして得点した。
磐田は相手にボールを保持されると4-4-2の3ラインで守備陣形を構築する。
ディサロ選手は、磐田の「2」である㊷後藤選手と㊵金子選手が及ばない、2人の脇のスペースでボールを受ける。(ディサロ選手がこの位置まで下りて来ているのが、まず出色の動きだと思う)
次の西澤選手は、磐田の「2」のうしろの「4」の一員であるジャーメイン選手と針谷選手がさわれない2人の間、および磐田の「4」と「4」のライン間で受ける。
西澤選手は、最後尾の「4」のラインから慌てて飛び出してきた⑮鈴木選手の飛び出し際を抜くラストパスをサンタナ選手に送る。
最後のサンタナ選手は、鈴木選手のマークから外れてフリーになっている。
磐田㊱リカルド グラッサ選手のカバーが来る前に、集中してシュートをうつだけだった。
観戦していて、「なんで、こんなに簡単に決まってしまうのか?」と感じてしまうゴールだった。
あとで映像を見返してみると上記のような順序で、磐田の関与をほとんど受けずにゴールをしているからだ。
このゴールは、お互いのチームにとって十分な検証が必要なゴールではないだろうか。
清水としては、どのようなポジショニング、どのような動き方が良かったのか。
得点できた要因を検証してチーム内で共有する。
そうすれば、この「4ー4ー2破り」とでもいうような、見事な攻め方を再現できると思う。
(そんなこと言われなくても、すでに共有しているのでしょうか。やはり)
一方の磐田としては当然ながら、どこが悪かったのか、どう対応すれば良かったのか、という検証になるのでしょう。
まず、清水のCBの2人、ボランチの2人、プラス、ディサロ選手の5人のパス交換に、磐田の中盤の「4」と前線の「2」が、どう対応すればいいか迷いながら動いているように見える。
その結果、中盤の「4」がじりじりと前に引きずり出されている。また、ディサロ選手が縦パスを出す瞬間に、金子選手のチャージが間に合っていない。
あとは、縦パスを受ける西澤選手とサンタナ選手の危険な2人を、鈴木選手が1人で同時に担当しなければならない状況になっている。
清水の前線にいたディサロ選手が下りているのだから、磐田のDFラインの枚数は余っているはずである。
なおさら、このような状況にしてはいけない場面であったと思う。
【58、60分、65分】
清水が立て続けにミドルシュートを放つ。
後半も清水が、ボールキープで優勢になりながら試合を進めていく。
磐田もパスをつないで攻撃態勢を組み立てようとしているのだが、早い段階でつぶされてしまう傾向にある。
【65分】
大きな縦パスに反応したジャーメイン選手が右サイドを粘り強く突破する。
最後はペナルティーエリア内で潰されてしまうのだが、清水GK権田選手がこぼれたボールをすかさず、近くの②山原選手へとビルドアップ的なパスを送る。
しかし、これが連携ミスとなりボールはそのまま磐田⑰鈴木選手の足元に転がる。
鈴木選手はダイレクトで清水ゴールのファーポスト際に、GKの頭上を越えるクロスを蹴った。
その落下地点に走り込んでいたのが、松本選手だ。
角度のない位置からヘディングシュートを押し込んだ。
清水に押し込まれて、全く得点の雰囲気がなかった磐田だったが、ワンチャンスをものにした。
磐田2ー1清水
【87分】
勝ち越された清水は、ロングボールを放り込む回数が多くなってくる。
87分に、その攻撃で同点に追いつく。
DFラインから高橋選手が入れたロングボールに、サンタナ選手が競る。
こぼれた浮き球を、終盤投入された⑳オ セフン選手がさらに競る。
さらにこぼれた浮き球に、磐田DFが2人で競りに行きぶつかってしまい、クリアできない。
ボールがゴール前に落ちてしまう。
そこに走り込んだのが、サンタナ選手だった。
1点目と同じような強烈な左足シュートを磐田ゴールに叩き込んだ。
磐田2ー2清水
清水がパワープレーを得点に結びつけた。
終盤、清水のFWコンビはサンタナ選手とオ セフン選手になっていたが、このコンビの空中戦の強さは磐田の脅威になっていた。
磐田が先手を取り、清水が追いつくという展開で、試合はこのまま終了。
共に勝利が求められる一戦は、まさに痛み分けという結果になった。
【チーム別所感:ジュビロ磐田】
試合を通して、押され気味であったと思う。
前回、磐田の試合を観戦したのは第3節の山形戦だったが、ボランチの2人を中心にしてボールを落ち着かせ、前線へ質のいいボールを供給することができていた。
しかし、この試合では清水の鋭い出足の前に、そのような場面を多く出せていなかった。
どのチームもそうだと思うが、相手のハイプレスを受けてしまった時に、自陣のDFラインから前方のゾーンを、パスワークやドリブルで通過して相手陣内へ進入していくことに苦労していると思う。
DFから中盤を省略して、前線へロングボールを入れる攻撃も考えられるが、やはりそれでは相手にボールを回収されてしまうことが多くなる。
ボールを大事にしながら自陣から相手陣内へ移動する、それは一見単純なプレーのようだが、サッカーの重要な命題とも言えるプレーではないかと思う。
この試合の磐田を見ていて、そのようなことを考えてしまった。
後半の序盤に自陣の右サイドで、ボランチの2人とDFの2人の連携で清水の執拗なプレスを回避し、逆サイドの相手陣内までボールを運んだ場面があった。
磐田であれば、このような場面を意識的に増やす力は持っていると思う。
次のダービーマッチでは、強烈なプレスを回避しながら、磐田のリズムでボールを保持するプレーをもっと見てみたい。
先制点を決めた後藤選手だが、得点の場面ではジャーメイン選手が出した縦パスに抜け出した。
抜け出したあと、並走する高橋選手との競争になるが、スタートの段階で半歩ぐらいのリードがあった。
この少しのリードがなかなか埋まらなかったのだ。スピードの持久力があると思う。
また、長身選手(191㎝)でリーチが長いので、DFから見て、普通より遠いポイントにボールを置いてドリブルやシュートができるのではないだろうか。
なので、少し遅れながら並走している状況だと、ますますボールにアタックしづらいと思う。
後藤選手としては、この状況(パスを受けて、ボールを遠くに置きながらのドリブルシュート)が、一番特徴を出せるプレーではないか。
これから試合に出ていく中で、ポストプレー、裏への飛び出し、ワンタッチゴール・・・と多彩な武器を身に付けて、将来的には、元日本代表の大迫選手をさらにスケールアップさせたようなFWに成長して欲しい。
次節: 対 栃木SC(ホーム)
【チーム別所感:清水エスパルス】
試合を通じて、主導権を握ることができたと思う。
それは、プレスの強さ、ボディコンタクトの強さ、球際の強さ、ボールへの寄せの速さ、といった、サッカーに含まれる戦闘的な要素が上回っていたからだと考える。
なので、磐田の攻撃は常に障害にさらされている状態で断続的になった。
清水の攻撃は局面のデュエルを制しながら継続された。
そうかと思うと、1点目のように、フィジカルとは無関係な合理的な方法で得点もできる。
はたまた、終盤のようなパワープレーで得点することもできる。
やはり、総合力という面ではJ2で屈指のチームだと思う。
なぜ勝てていないのか、全くわかりません。
しかし、少しのきっかけで波に乗っていけるチームだろう、ということは今日の試合で感じた。
次節 VS ザスパクサツ群馬(ホーム)
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