2023年3月4日(土)@ヤマハスタジアム
J2の強豪チーム同士の一戦。
磐田のホーム、静岡県磐田市のヤマハスタジアムで現地観戦しました。
磐田は今季2戦して1分1敗と、ここまで勝利がありません。
是非ともこの一戦で勝ち点3を獲得したいところです。
一方の山形はここまで2連勝と好調のチーム。
2戦とも1失点しながらも、複数得点で勝利しています。
磐田を倒せば3連勝。序盤戦を波に乗って行けます。
【観戦席】
バックスタンドのB指定席で観戦。
B指定席はA指定席よりもピッチに近い席となっています。
ヤマハスタジアムは観客席の勾配が急なため、スタンドの上の方に移動してもピッチから離れる感じになりません。
B指定席の上のゾーンになるA指定席のあたりが、ちょうど全体を見渡しやすく、ピッチに近い臨場感も味わえるという設定でしょうか。
しかし、B指定席の臨場感もかなりのもので、迫力ある観戦ができそうです。
【試合開始】
14時過ぎにキックオフ。
まずは、両チームのDFラインとDFラインの間隔が狭いな、と感じる。
非常にコンパクト。大体の目測だが、40mぐらいか。
「40m×ピッチの横幅」の面積の中に、両GK以外の20名の選手が密集している状態。
こうなると、お互いにボール保持者へのすさまじいプレス合戦という展開になる。
一瞬の判断の遅れ、パス・トラップの少しのズレが全く許されない状況だ。
試合の序盤は、狭い局面での激しいボールの奪い合いが続く。
【9分】
そんな展開が続く中、左サイドでボールをキープした磐田㉞針谷選手が、山形DFの門を通すパスをペナルティーエリア内の㊵金子選手に送る。
急所を突くパスに山形DFの対応がやや遅れ、そのままシュートも撃てる状況に見えた。
しかし金子選手はゴール前にグラウンダーのパス。
惜しくも⑱ジャーメイン選手には合わなかった。
両チームの激しいプレスの応酬で始まった試合だったが、磐田が㊿遠藤選手、㉞針谷選手のダブルボランチを中心にして徐々に攻撃の時間を増やしていく。
【13分】
磐田㊿遠藤選手から㊵金子選手に真っ直ぐな縦パスが入る。背後にDFを背負っていない金子選手はそのままターンして、右サイドの⑨杉本選手へシンプルにパスを送る。
パスを受けた杉本選手が迷いなくシュートを撃つがゴール左に外れる。
ここまで、自分たちの思うような攻撃ができなかった両チームだったが、磐田がシンプルなパスワークから簡単にシュートまで持っていった。
この時間帯以降は磐田が明らかに優勢になっていく。
【35分】
右SBの磐田⑰鈴木選手が前線中央へ斜めのロングパスを送る。
磐田㉝ドゥドゥ選手と山形㉖川井選手がイーブンに競り合う形になる。
川井選手が必死に先にボールを触るが、そのボールが磐田⑱ジャーメイン選手と山形①GK後藤選手との間に転がる。
後藤選手の飛び出しが、先にボールに触ったジャーメイン選手へのファウルチャージとなり、磐田がPKのチャンス。
ジャーメイン選手が、見事に左足インサイドでゴール左隅に決めて先制点を奪う。
激しいボールの奪い合いでスタートした前半だったが、磐田が徐々にボールを支配して優勢に立った。前半のシュート数は、磐田7本に対して山形は0本だった。
磐田のダブルボランチがいいと思う。
常にボールを受けに走り、相手プレッシャーの逃げ場となる。また、ボールを持てばキープできるし、効果的なパスを散らす。
特に相手DFの間を通す門の縦パスが効果的だと思った。インターセプトされるリスクはあるが、通れば一気にDFをはがせるし、よりゴールに近づく攻めのパスとなる。
磐田は攻撃時は4-2-3-1だが、敵のボールになると4-4-2の形に素早く切り替え、堅いブロックを敷く。
この形になった時に威力を発揮するのが、⑨杉本選手と㊵金子選手の「2」のディフェンスだ。
山形はこの「2」を超えるのにも気を使わなければならない。
超えたとしても、この「2」がプレスバックして追いかけてくる。
そうなると4-4-2のライン間隔がさらにタイトになり、山形の選手がボールを受けるスペースを制限する。
その結果、磐田の被シュートが0本(前半)という数字になったのではないだろうか。
【52分〜54分】
後半に入り、山形のDFとMFのあいだでパス交換が活発になってくる。
前半の磐田に見られたが、パスコースを確保できるようにパスを受ける側が意図的に動いている。
その中で効果的な縦パスも混ぜながら、バイタルエリアに攻め上がるシーンが出てきた。
前半の結果を受けて、山形が対応してきた。
しかし、若干だがパスが浮いてしまっているのが気になった。そのために、受け手のトラップが乱れてしまいプレースピードのロスになる。また、ダイレクトプレーをするのも難しい球質だ。
そのため、磐田DFが対応できる時間ができてしまっていた。
【59分】
山形が3人の選手交代。
攻撃時のプレー強度が上がり始める。
磐田がボールを保持しようとする局面で山形のチェックが厳しくなったため、山形が試合の主導権を握るようになってきた。
【74分】
パスがつながり始め、前方への推進力が出てきた山形の攻撃に、磐田がファウル。
山形が敵陣のペナルティエリア右角付近でFKを得る。
このFKの場面で、磐田の守備は8人がゴールラインと並行に、一直線に並ぶ陣形を取った。
これでは山形の選手が入り込むスペースがないな、と思って見ているうちに、山形⑧小西選手が左足インスイングのキックで、守備ラインとGKのあいだに絶妙なボールを入れる。
じわじわと落下地点に入っていた山形⑤野田選手が頭で合わせて、山形が同点に追いついた。
なにしろ磐田は8人の選手が、ゴール前にびっしりと並んでいたのだ。
山形の選手がプレーできるスペースはないように見えた。
実際、野田選手は磐田㊷後藤選手と㉒中川選手の間の、挟まれるような位置にいた。
磐田の2人は共に長身の選手である。
しかし、小西選手のボールが絶妙のボールだった。かなりのスピードを維持しながら飛んできた後に、肝心なところでやや沈むボール。
こういうボール蹴られるとDFは嫌だろうなぁと思う。自分を越えていった後ろで相手にさわられてしまうのだから。
やはり、この得点シーンのように外から放り込んだボールにヘディングで合わせる攻撃は、怖い。
それまでの展開がいくら劣勢であったとしても、そういったことを全てイーブンにしてしまう。
このような攻撃を得点に結び付ける精度の向上、そして、このような攻撃を跳ね返す強さの追求も、強いチームになる上で無視できないことだと思う。
【79分】
磐田GK梶川選手がスローしたボールを、CBの㊱リカルド グラッサ選手と左SBの④松原選手がタッチライン際をコンビプレーで突然攻め上がった。
相手CBの意表をつく攻撃で、少し山形のDFのリズムが狂ったのだろうか?
結局、ペナルティエリアまで侵入してしまう。
さすがに最後は潰されそうになるが、2人をフォローして長い距離を走ってきたのが⑭松本選手だ。
リカルド グラッサ選手が、冷静に松本選手へラストパス。
松本選手も体を当てられるが、我慢強く残した体勢でシュート!
ゴール右隅に流し込み勝ち越しに成功した。
後半は磐田の正攻法の攻撃が抑え込まれていただけに、このDF2人による異色の攻撃が効いたようだった。
あれよあれよという間に、最後尾からペナルティエリアまで進んでいきました。
その後は山形が必死で攻めるが、決定的なチャンスは訪れない。
磐田の中盤の守備が粘り強い。
そのため、山形の攻撃が勢いを保ったままアタッキングサードまで到達しきれない、という展開だった。
【アディショナルタイム】
山形の最後のチャンスは終了間際の96分だった。
ペナルティエリアのすぐ外、真ん中付近からの直接FKを山形⑧小西選手が狙うが、おしくも右ポストを直撃してしまう。
あと10センチボールが左にずれていれば、ボールがゴールの中に跳ね返っていたかもしれない。
非常に惜しいFKだった。
ゴールのシーンといい、小西選手のプレースキックは決定的なチャンスを作れる大きな武器だと思う。
FKのこぼれ球からも山形が攻め続けるが、そのまま試合は終了。
磐田が2-1で今季初勝利を挙げた。
【チーム別所感:ジュビロ磐田】
攻撃時は4-2-3-1。
「2」の遠藤選手と針谷選手が中盤の底でボールをキープして、縦関係にある「3」の選手にパスを配給して攻撃に推進力をもたらす。
守備時は「3」のサイドの選手が「2」のラインまで下りてきて4-4-2に変化する。
「4」と「4」のラインで相手が使いたいスペースを埋めて堅く守る。
また、「2」の選手のディフェンスが形式的なものではなく、ボールを奪取するためのコンタクトプレーを惜しまないので凄いと思う。
今日の試合で、磐田の最終ラインが危険にさらされる場面というのは、少なかったのではないだろうか。
山形の最前線のFWにいい形でボールが収まる、あるいは磐田の最終ラインに向かって山形のMFが突っかけてくる、という場面があまり見られなかった。
それだけに、もし、この試合が引き分けで終わっていたら、磐田としたらショックだったと思う。
実際、一度は同点にされ、最後の最後にも同点にされかけました。
磐田の可変システムは十分に機能していると思う。
あとは、セットプレーの守り方、危険箇所で不用意なファウルをしない、といったことをチーム内で再確認していけば、勝ち点3を計算できるチームではないだろうか。
次節:VS 大宮アルディージャ(アウェイ)
【チーム別所感:モンテディオ山形】
やはりチームの強みはFWのデラトーレ選手でしょうか。
なので、そこへボールを入れる、あるいはその近くまでボールを持っていく。
そういった頻度を増やしたい。
デラトーレ選手にボールを入れるにしても、何の脈絡もないところからいきなりの好パスを供給することはできません。
それなりの過程を踏む必要がある。
彼の近くまでボールを持っていくのも、当然そうです。
そのためにも、パス、トラップ、パス、トラップの連続プレーにおいて極力、抵抗なく、相手の関与を許さずに、流れるようなプレーができるか、が大事だと思う。
今日の試合を見ていて、少しパスが浮く、トラップが浮くといったことがあり、攻撃が微妙に遅れてしまう場面があった。
そういうプレーが出てしまうと、相手のチェックは余計に勢いが出てしまいます。
あとは、良いプレースキッカーがいて、そのメリットをうまく活用できているようなので、そこからも今後得点が量産できるチームだと思いました。
次節:VS ザスパクサツ群馬(アウェイ)
コメント